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建築家インタビュー#1 小堀 哲夫

設計事務所インタビューシリーズ。第1回目は、小堀哲夫建築設計事務所の小堀哲夫さんです。

スイスのインテリアファブリックメーカーである、クリエーションバウマンのカーテンは、機能性はもちろん、シンプルに建築をより引き立てる建材のひとつとしても様々なプロジェクトにて採用いただいています。

クリエーションバウマンのファブリックを採用頂いた、建築設計事務所を訪問し、ファブリックと建築、建築に対する思いなどをお聞きするインタビューシリーズです。

第一回目は、小堀哲夫建築設計事務所の小堀哲夫さんです。下記よりご覧ください。

小堀 哲夫 Tetsuo Kobori

略歴

1971年 岐阜県生まれ
1997年 法政大学 大学院工学研究科 建設工学専攻修士課程修了(陣内秀信研究室)
1997年 久米設計入社
2008年 株式会社小堀哲夫建築設計事務所設立
2018年〜 名古屋工業大学 非常勤講師
2020年 法政大学 デザイン工学部建築学科 教授、
梅光学院大学 客員教授

 

受賞歴

2020年 German Design Award 2021 winner、SKY DESIGN AWARD 2020 Shortlist、BCS賞
2019年 JIA日本建築大賞、Dedalo Minosse International Prize,
   2019 Special Prize
2018年 ABB LEAF Awards 2018 Shortlist、中部建築賞
2018年 RIBA INTERNATIONAL Prize 2018's Longlist
2017年 日本建築学会賞、JIA日本建築大賞
2015年 BCS(日本建設業連合会)賞、中部建築賞 、
   日事連建築賞「国土交通大臣賞」、
   AACA(日本建築美術工芸協会)賞優秀賞
他多数受賞

 

主な作品

べにや旅館「光風湯圃」
CIC Tokyo
梅光学院大学「The Learning Station CROSSLIGHT」
NICCA INNOVATION CENTER
ROKI Global Innovation Center –ROGIC-
昭和学園高等学校
南相馬市消防防災センター

『CIC TOKYO』プロジェクトにファブリックを採用
「CICプロジェクト」は、部屋がいっぱいあり、1つ1つがスタートアップの部屋で細胞のような増殖の仕方をするイメ ージで作りました。また、みんなが集まるコワーキングスペースもあります。

その部屋と部屋の間を抜けていく通路を「路地」と捉えて、路地空間を魅力的に表現できないか、と。

「路地」で人々が集まる、そこに空のような・雲のようなゆらぎのある天井を使おうと。
この「路地コーナー」に、ファブリックを「雲の揺らめき」のようなイメージで採用しようと考えました。

ファブリックが天井を覆う、と考えたときに、カーテンというよりも「空間を構成する1デザイン要素」であることの意味合いが強くなるんです。

ムラとか多様性みたいなものが、実はファブリックの最大の魅力なのかな、と気づいて。柔らかいものに包まれる安心感みたいなものがファブリックにはあります。非常に魅力的な点です。

吸音・遮音カーテンについて
カーテンって、空間が仕切られるまでは少し成りづらい素材だと思うんですけれども、この遮音カーテンは、ファブリック自体の重量感がすごく良いと思っていて。実際に「遮ぎる」というのは、音ももちろんそうですが、何かプライバシーを保たれているような雰囲気になるという点が、すごく大きいです。

今、いろいろなプロジェクトが進んでいるなかでも、「吸音性能」の可能性をファブリックに感じていて、例えば壁とか天井を大きなファブリックにすることで、静謐な空間を作ろうとしています。

設計をする際の手がかりとして、その土地の記憶だったり、風土であったり、気候だったり、光環境、風環境というものが、非常にインスピレーションのもとになっています。
by 小堀 哲夫

建築を設計するうえで、大変なプロセスや楽しいことは?
光や風環境というのは、人間にとっては「住むための重要な環境の接続点」だと思います。

もちろん、建築に付随するプログラムのことも研究するし、そこに入る人たちのことも色々と研究するんですが、まずは「そこにどうあるべきか」ということを考えていくのが、設計の一番難しいところでもあり、楽しいところだと言えますね。

もう一つ、未来を創り出す「クリエーティブ性」がすごく必要で、リサーチすることにも、土地のポテンシャルというものを最大化することにもクリエーションがあるし、全く違うものを発見して全く違うクリエーションを交互につくっていくということも、実はすごく楽しいと思うんですよ。

デザインとか設計のなかで常に見つけられるし、クリエイトしていくという感じかな。なので、私たちは設計とその場所のリサーチっていうのを同時にしながら、最終的にどう使われていくかというところまで、設計者として関わっていくのが一番幸せな関係かなと。

クリエーションバウマン、スイスという国のイメージについて
クリエーションバウマンさんというメーカーを知ったのは、もう20年くらい前になります。僕が事務所に入ったばかりの新人の時に、クリエーションバウマンさんの担当者が事務所に来てくれた。

その時に、今までに見たことのないようなファブリックのサンプルを、バインダーいっぱいに一つ一つ本物の素材を貼り付けて運んできてくれたんですね。

普通カタログっていうと、写真とか実物はないんだけれど。本物 かつ 大きいサイズでファイリングされたものを持ってきて、それをめくるのが楽しくて。

クリエーションバウマンさんを通して、スイスのものづくりに対するリスペクトをそこに持った、というのが始まりですね。 同時に、やっぱりコルビジェとかですね。様々な建築家がスイスで生まれているので、ものづくりの中心地でもある、という興味もありました。

僕もスイスには結構いろいろ行ったんですよ。その時の旅のノートというのがあって、ちょっと見てみましょうか。

僕が感動したのは「山」なんです。

アルプスの風景が、目の前に広がった時の感動というのは、いまだに覚えています。
あの時に思ったのは、小屋が点在しているわけですよ。すごい点在していて、本当にその風景に僕は感動したんですよね。

その点在している風景に、教会がね、白い教会がぽっつりあって。その教会の中に入った時に、建築の意味がすごくわかったという気持ちになって。

教会に入ってちっちゃい教会の窓から外を見た時に、その外の風景がすごく良く見えたんです。景色というものが全面に広がっていった感覚で。

建築って、存在することで周りの周辺環境の理解を急激にしていくものなんです。自分の感性が開くということもそうだし、周りの環境をより良く最大化することが出来るのが「建築」なんだと。そういう風に僕は理解したんでしょう。

どういう感覚になれば、この理解を表現に落とすことができるのか。

そう考えたときに、「ファブリック」が存在することで、向こう側の世界を想像してしまうことに近いなと。ベールって そういうことだと。区切っているつもりなのに、その区切っている先のことを想像しながら区切るということなんです。 そこが面白い領域の作り方だなと思えたんです。それは、硬いものではダメだと思ったんですよね。

素材によってその向こう側の世界の捉え方が変わるという、それってすごい面白いことだと思います。

人間の本質的な部分で「どう包み込まれるか」「どう関われるか」という点が、一番建築にも大事なところなんです。

それは、部屋のなかでも同じ。人間が子供のころに、秘密基地とか段ボールハウスとか、根源的には何かに包まれているという状態から、まず生まれ出るんですよね。

その中の「居」の部分という中身を設計しているんですね。その中身を設計すると同時に「側」を意識させているという。それが、建築の醍醐味ですね。

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